おたより ⑳

森下先生

   主の御名を賛美いたします。
   先生、その後お元気ですか。先日のあや講座では大変お世話になりました。あの講座を用意していただいた事により、もう一度父の最晩年の事を思い出させていただき、心から感謝いたしております。私は父が大好きでした。信仰に対してはとっても厳しかったですが、とても人間味のある優しく、それでいてとっても楽しい父でした。
   私は小さい頃より、「教会には色んな人が来て下さる。中には、嫌だなあと思う人がいるかもわからんけど、牧師の子供は、どんな人にも笑顔で接してほしい」と云われたので、そのくせがつき、どんな人にも笑顔で接していました。それが、中学生になった時、ある友人から、「榎本さんは、誰にでも笑顔をふりまく八方美人やね」と揶揄され、悲しい思いをした事があります。
   家に帰って“お父ちゃんが小さい頃から誰にでも笑顔で接しなさい!と云うから、そのくせがついて、八方美人だと云われた!(てる子なら、このあと、どないしてくれるねん!と云ったと思いますが、私はそこまではよう云いませんでした)”すると父は“そうか、そらすまなんだな。(とまず、子供にでもあやまる)これから、おとうちゃんは、るつ子が、くせではなく、心から誰にでも笑顔で接することができるようにって祈るわな”と云いました。もう私は何も云えません!上手でしょ、叱り方!いつもこうでした。
   もっともっと生きていてほしかったと思いますが、神さまの時があったのでしょう。しかし、没後45年たっても、この様に覚えられ、影響を与え続けてくれている、そういう計画をして下さった神さまと森下先生、そして三浦綾子先生、光世先生に心から感謝します。 
                                  橋本るつ子

森下辰衛先生へ

 はじめまして。私は東京の三浦綾子読書会の会員のものです。森下先生には、CD、『雪柳』、便せん等を送っていただきました。面識のない私に、このようなお気使い、本当にありがとうございました。CD、とてもよかったです。ラジオ深夜便の放送は夜中でしたので、もうすっかり忘れており、私は、三浦綾子さんというより、森下先生が安定した職を捨て、北海道に移られたことに興味をもって、読書会に参加希望したことを思い出しました。正直、三浦綾子さんの『道ありき』など、自伝には感動したのは覚えておりましたが、あまり小説には興味はありませんでした。ですが、CDをきいて、誰でもわかる読みやすい文体の中に、綾子さんがキリスト者として伝えたい、怒り、思いがあることを知りました。そういう目で『海嶺』 (中)を読んでいましたら、とてもなごやかな場面であっても、言葉はやさしいが、とても史実としては厳しいものがあると気づかされました。3月に読書会で『海嶺』(中)をやります。前2回ははじめてだったので、お客様気分で参加していましたが、今度は身を入れて参加させていただこうと思っています。CDをきけて本当によかったです。他の会員のみな様にも回させていただきます。『雪柳』、これも本当によかったです。永野さんの妻のその後を見せていただいたことで、『塩狩峠』の疑問に答えていただきました。2度読みましたが、深く、すぐにはわかりませんが、イエスに従って行く人、残される人、その対比を考えていきたいと思います。ちょうど市川崑監督の『ビルマの竪琴』を見たところでした。ビルマに残ると決意した主人公、そして帰国を待っているであろう日本にいる父母、家族。その思いが、『雪柳』の永野さんの妻と重なりました。
 私はこれから、三浦綾子さんをキリスト者綾子の作品だとして読んでいこうと思っています。森下先生のブログで読者の方の手紙が載っていました。そこに、光世さんの「骨ずいまでエゴイスト」とありました。まさに、私のことでした。光世さんがこのようなことを思っていたこと、とても勇気づけられました。時間ができましたら、光世さんの残されたものも読んでみたいと思っています。
 このような機会をいただけたこと、本当に感謝しています。読書会のお世話を下さるご夫妻には本当にお世話になっています。よきリーダーです。そして、会員のみなさんもとてもいい方ばかりでとても会が楽しいです。新たな出会いです。
 森下先生の北海道への移転の話、最高でした。どうぞ、ご家族仲良く、思いを尽くして北海道で思いっきり研究されて下さい。東京から応援しております。
 森下先生、本当にありがとうございました。読書会、がんばります。

 

森下辰衛先生

   本日も、『天の梯子』の読書会で、かけがえのない時間をご一緒させていただき、ありがとうございました。
   お一人おひとりの豊かな感性、霊性に触れさせていただいていること。そして、会を重ねるごとに、それぞれに出来事が起こされている奇跡の素晴らしさ。ただただ胸を打たれております。
   森下先生がフランクルの『夜と霧』にも触れてくださいましたように、今日の箇所第八章を読みながら、私も、フランクルの「人間とは…ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りの言葉を口にする存在でもあるのだ」という一節を思い起こしていたことでした。
   綾子さんは、執筆を通して、毅然とした態度で「主の祈り」を読者に伝えてくださったことに、あらためて感動を覚えます。それも、日常の出来事の中で想起できる、わかりやすく、届く言葉で。
   うまく言葉になりませんが、参加させていただいて本当に感謝です。ありがとうございます。

このブログを書いた人

森下 辰衛
森下 辰衛三浦綾子読書会代表/三浦綾子記念文学館特別研究員
 1962年岡山県生まれ。1992年から2006年3月まで福岡女学院短大および大学で日本の近代文学やキリスト教文学などを講義。2001年より九州各地で三浦綾子読書会を主宰、2011年秋より同代表。
 2006年、家族とともに『氷点』の舞台旭川市神楽に移住し、三浦綾子文学館特別研究員となる。2007年、教授の椅子を捨て大学を退職して以来、研究と共に日本中を駆け回りながら三浦綾子の心を伝える講演、読書会活動を行なっている。
 著書に『「氷点」解凍』(小学館)、『塩狩峠』の続編小説『雪柳』(私家版)、編著監修に『三浦綾子366のことば』『水野源三精選詩集』(いずれも日本基督教団出版局)がある。NHKラジオ深夜便明日への言葉、テレビライフラインなどに出演。