「シオン・ガーデン」読書会

私が書いた短篇小説「シオン・ガーデン」の読書会をしました、というお便りをいただきました。拙いものを取り上げて読んでくださり、びっくりで、うれしくて、読書会で出た感想を読ませていただくと、なるほどー、でした。ご紹介します。

   本日の読書会で、シオンガーデンを輪読して感想などを話し合いました。やはり60代70代には感動の渦でした。

   以下それぞれの発言です。
・両親のことを「いのちの始まり」と表現したことに、目が覚める思いだった。
・若い頃の友達からの影響は強烈。
・39年もの月日がこんな風に展開するなんて、当時は思いもせずに背中を押した友達の存在感。
・その上、音信が途切れたら、心配して家を訪ね探し当てたなんて友人を大切に思う気持ちが溢れている。
・T君Kさんに介入してくれる、中に入ってくれる友達がいてよかった。
・「いのちの始まり」である両親への自分の接し方を問われた。
・今の時代、親は二の次で若い者の意向が中心な世の中だなぁとつくづく考えさせられる。
・結婚を選ばず「いのちの始まり」を選択して両親を大切にする。何とも言えず切ないけれど、人生で大切なことを教えてもらった。
・自分の大学時代の仲間で、やはり親を看るために独身の男性、女性がいて(双方50代)思い出されてならない。「それぞれ、あるから」なんだなぁ。
・T君は今、お義母様を介護しているのだろうか。
・原点に戻って、夫を何があっても愛し抜こうと思った。
・同居してくれている年老いた父を大切にしなければ、と思った。
・魂が結ばれる本物の結婚だと思った。

残ったキーワード
「いいんだ、今年咲かなくっても、いつか咲けば」
「彼女はまぎれもなく僕の妻になってくれた」
「獣のように号泣した」
「約束はしません」

   みなさん、しばらくいろいろ考えさせられそうです。『氷点』の時とは違う盛り上がり方で、身につまされながらそれぞれお帰りになりました。年明けのオープニングで、タイムリーな短編でした。ありがとうございました!

付記
・こういう生き方の教師に受け持ってもらいたかった。
・もし、背中を押してくれる友達がいたら、自分の人生も全然違ってたかも。

   という感想もありました。
   旭川市、寒いですね。どうぞお身体に気をつけてくださいね。

※「シオン・ガーデン」は、このホームページで読むことが出来ます。とても短いものですので、どうぞお読みになってください。結婚、親子、介護離職のことなどをテーマにしています。

 

このブログを書いた人

森下 辰衛
森下 辰衛三浦綾子読書会代表/三浦綾子記念文学館特別研究員
 1962年岡山県生まれ。1992年から2006年3月まで福岡女学院短大および大学で日本の近代文学やキリスト教文学などを講義。2001年より九州各地で三浦綾子読書会を主宰、2011年秋より同代表。
 2006年、家族とともに『氷点』の舞台旭川市神楽に移住し、三浦綾子文学館特別研究員となる。2007年、教授の椅子を捨て大学を退職して以来、研究と共に日本中を駆け回りながら三浦綾子の心を伝える講演、読書会活動を行なっている。
 著書に『「氷点」解凍』(小学館)、『塩狩峠』の続編小説『雪柳』(私家版)、編著監修に『三浦綾子366のことば』『水野源三精選詩集』(いずれも日本基督教団出版局)がある。NHKラジオ深夜便明日への言葉、テレビライフラインなどに出演。