ご当地チロル よいとまけ 発見!

 


    “ご当地チロル よいとまけ”を旭川市内のスーパーマーケットで発見しました!福岡県田川市の菓子メーカー松尾製菓は、ご当地コラボチロルチョコを次々と発表して来ましたが、2020年4月6日、北海道苫小牧市の三星(MITSUBOSHI)とのコラボで“よいとまけ”チロルを発売しました。この“よいとまけ”は、北海道の自生果実でもあるハスカップのジャムが挟まれたロールケーキで、「日本一食べにくいお菓子」とも言われる逸品。三星の最主力商品で道内の空港ではほぼどこでも買えるお菓子です。
   実はこの三星、元は小林三星堂というパン屋さんで、小樽が発祥の地でした。そう、三浦綾子ファンの方はもうおわかりでしょう。三浦綾子晩年の傑作伝記小説『母』の小林多喜二の伯父小林慶義が創設したパン屋さんなのです。この慶義の息子幸蔵は、はじめは靴屋、あとではパン屋で奉公しますが、その主人がいずれもクリスチャンで、感化を受けた幸蔵は、明治34年クリスチャンになりました。この息子がパン屋で働き始めて次の年、父親の慶義は自宅に「小林三星堂」という看板を掲げたのでした。この「三星」という名は三つの星が並んでいるオリオン座からつけたのだと『母』には書いてありますが、実はもう一つ意味があったのです。数年前苫小牧での三浦綾子読書会で『母』を取り上げて講演をしたとき、この三星のご当主の家の方が来てくださいました。小林家のこと多喜二のことなど、『母』や関連資料では知り得なかったことを幾つも教えていただいたのですが、そのときその方が「三星の三つの星というのは、信仰、希望、愛を表しているのです」と教えてくださったのです。目からうろこ、よいとまけからオブラートが剥がれたような気持ちでした。
   オブラートはついていませんが、ハスカップソース、ハスカップチョコ、カステラ風味チョコなどで出来ていて“よいとまけ”を味わえる“チロルチョコ よいとまけ”、季節限定で全国発売されています。コロナ籠りのお供に、どうぞご賞味ください。ついでに『母』の第一章「ふるさと」もご参照ください。

このブログを書いた人

森下 辰衛
森下 辰衛三浦綾子読書会代表/三浦綾子記念文学館特別研究員
 1962年岡山県生まれ。1992年から2006年3月まで福岡女学院短大および大学で日本の近代文学やキリスト教文学などを講義。2001年より九州各地で三浦綾子読書会を主宰、2011年秋より同代表。
 2006年、家族とともに『氷点』の舞台旭川市神楽に移住し、三浦綾子文学館特別研究員となる。2007年、教授の椅子を捨て大学を退職して以来、研究と共に日本中を駆け回りながら三浦綾子の心を伝える講演、読書会活動を行なっている。
 著書に『「氷点」解凍』(小学館)、『塩狩峠』の続編小説『雪柳』(私家版)、編著監修に『三浦綾子366のことば』『水野源三精選詩集』(いずれも日本基督教団出版局)がある。NHKラジオ深夜便明日への言葉、テレビライフラインなどに出演。