あなたが地上でつなぐなら ーソウル・レポート④
「ごめんなさい」と「ありがとう」は最強の平和ツール4
3日目、三浦綾子召天二十年記念集会が開かれる日の朝、宿泊しているソウル東大門のホテルでの長谷川与志充先生との朝の祈り会のときでした。三浦綾子読書会では、宿泊を伴うツアーや大会などではいつも有志による祈り会が持たれるのが慣例です。聖書を一章程度輪読して、心に語られたことを分かち合い、祈ります。その朝読んだのはマタイ福音書18章。その18節にこう書かれているのが心に留まりました。
「まことに、あなたがたに告げます。何でもあなたがたが地上でつなぐなら、それは天においてもつながれており、あなたがたが地上で解くなら、それは天においても解かれているのです。」
衝撃的でした。私がこの地上でどう生き、どう語り、どう働くかは、この地上だけのことではない。天上の状況に直結している。だとすれば、それは天上の眼差しが期待して私を見ているということでもあるのです。私が今日、三浦綾子さんの心を用いて何らかの和「解」を為し、三浦綾子さんの物語を通して日本と韓国を「つなぐ」なら、それはほんの少ない人数の小さな集会での出来事であったとしても、天の事件にもなるということなのです。私の中で、何かが流れ始め、開かれてゆきました。何も恐れることはない。肩に力を入れる必要もない。心をこめて解くべきものを解き、つなぐべきものをつなげばよいのだ。祈り会を始めたときにはまだ闇の中だったソウルの街が、長谷川先生と二人で祈り終えたころには、明るい朝の光に満たされ始めていました。
このブログを書いた人
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1962年岡山県生まれ。1992年から2006年3月まで福岡女学院短大および大学で日本の近代文学やキリスト教文学などを講義。2001年より九州各地で三浦綾子読書会を主宰、2011年秋より同代表。
2006年、家族とともに『氷点』の舞台旭川市神楽に移住し、三浦綾子文学館特別研究員となる。2007年、教授の椅子を捨て大学を退職して以来、研究と共に日本中を駆け回りながら三浦綾子の心を伝える講演、読書会活動を行なっている。
著書に『「氷点」解凍』(小学館)、『塩狩峠』の続編小説『雪柳』(私家版)、編著監修に『三浦綾子366のことば』『水野源三精選詩集』(いずれも日本基督教団出版局)がある。NHKラジオ深夜便明日への言葉、テレビライフラインなどに出演。
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