大地に呼ばれて美しくなる-旭川落ち葉図鑑

   10月31日午後、旭川の紅葉と落葉を撮りました。紅葉、黄葉も艶やかですが、落葉も美しいです。大地に呼ばれて、枝を離れて、身を風に委ねて落ちてゆき、重なって、朽ちてゆくのも、麗しいと思います。

カワヤナギ

エンジュ

エンジュ(槐)はアイヌ墓標の材料になります。左奥に見えるのは忠別川に架かる富良野線の鉄橋。

トチノキ

イタヤカエデ

右向こうに見えるのは旭川市宮前にある青少年科学館のプラネタリウム。

公園樹および街路樹として多く植えられています。写真は買物公園付近。

カシワ

   カシワ(柏)は春光台公園にも多く生えています。純林になってゆく傾向があり、有名なのは帯広の南の中札内美術村の柏林です。六花亭が買い取って美術村にしました。枯れても葉は落ち尽くさずいくらか春まで残って、新しい葉が出るのを見届けて落葉するところから、子を見守る親の情愛にたとえられます。

ポプラ

   木の左に見えているのが旭川駅。同じポプラの落葉でも、落ちる場所や見る角度で違う風情になります。

タチヤナギ

   忠別川堤防下のサイクリングロード、緑東大橋付近で撮りました。

エゾヤマザクラ

樹にあるときよりも、いろいろな色を見せるエゾヤマザクラの落葉です。

イチョウ

   後ろの建物は旭川の読書会が開かれている市民活動センターCoCoDe。

ハルニレ

街路樹にも公園にも植えられています。大樹にもなりますし、強度の刈り込みにも耐えます。そういう点では、西日本のケヤキに似ています。この写真の樹もかなり斬られています。枯葉は脱色が早いようです。

ナナカマド

   こんな風に葉は枝ごとに近い感じで落ちています。実ははじめは渋くて美味しくないのですが、雪であく抜きされると鳥が食べられるようになります。それは、雪のないうちに糞に混ざって種が落ちて発芽しても寒さで枯れてしまうので、雪が降ってから食べてもらい、雪の中に落とされ守られて、春になってから発芽するためです。

旭川の樹で、街路樹として多く植えられています。写真は一条三丁目付近。ナナカマドはとても硬い樹で七回竈に入れても中々燃えないところから付けられた名前だそうです。綾子さんもこの木と赤い実が好きで、作品に何度も登場します。

シラカバ

   写真は神楽の大雪アリーナ駐車場の並木。ここは元は営林局の圃場で、『氷点』に登場します。

モミジカエデ

カツラ

小さくて丸くて黄色い葉っぱが特徴で、巨木にもなります。西日本にも植えられています。ヤクルトの匂いがします。

このブログを書いた人

森下 辰衛
森下 辰衛三浦綾子読書会代表/三浦綾子記念文学館特別研究員
 1962年岡山県生まれ。1992年から2006年3月まで福岡女学院短大および大学で日本の近代文学やキリスト教文学などを講義。2001年より九州各地で三浦綾子読書会を主宰、2011年秋より同代表。
 2006年、家族とともに『氷点』の舞台旭川市神楽に移住し、三浦綾子文学館特別研究員となる。2007年、教授の椅子を捨て大学を退職して以来、研究と共に日本中を駆け回りながら三浦綾子の心を伝える講演、読書会活動を行なっている。
 著書に『「氷点」解凍』(小学館)、『塩狩峠』の続編小説『雪柳』(私家版)、編著監修に『三浦綾子366のことば』『水野源三精選詩集』(いずれも日本基督教団出版局)がある。NHKラジオ深夜便明日への言葉、テレビライフラインなどに出演。