ぼくはおなら

      ぼくはおなら

ぼくはおなら
ぼくはおなら
くさいといわれ
きたないといわれ
はしたないといわれ
ぶさほうといわれ
きらわれもののぼくだけど

ぼくはおなら
おなかをととのえ
けんこうをまもる
ぼくはおなら
えらいおなら
みんなをわらわせ
ぼくはわらわれる

みんないえにかえり
しょくじどきになると
かならずいうだろう
「今日の講師の森下先生は、いきなりおならしたんだよ!」
みんな爆笑
一家団欒
家庭円満
ぼくはわらわれ
しあわせをはこぶ
ぎせいの愛の
ぼくはえらいおなら
おなかをかかえ
わらいすぎると
ぼくはうまれる

ぼくはおなら
みんなおなら
おかあさんもしてる
あかちゃんもしてる
きれいなおねえさんも
こうちょうせんせいも
牧師せんせいもしてる
みんなしてる
神の子の
イエスさまも
きっとしてた
だから
ぼくはかみのまご

ぼくはおなら
ならのみやこの
うえにおがついてる
上品ななまえ
ぼくはおなら
みんなでおなら
人間関係の
潤滑油になる
気分すっきり
だれも死なない
毒ガスじゃない
窒息もしない
爆発もしない
ガス代もいらない
へいわになる

ぼくはおなら
みんなでおなら
いっしょにおなら
しようよおなら
でもきをつけて
むりにぼくをすると
ぼくのあとから
おとうさんがでて
くることもあるよ

ぼくはおなら
では、さよおなら

このブログを書いた人

森下 辰衛
森下 辰衛三浦綾子読書会代表/三浦綾子記念文学館特別研究員
 1962年岡山県生まれ。1992年から2006年3月まで福岡女学院短大および大学で日本の近代文学やキリスト教文学などを講義。2001年より九州各地で三浦綾子読書会を主宰、2011年秋より同代表。
 2006年、家族とともに『氷点』の舞台旭川市神楽に移住し、三浦綾子文学館特別研究員となる。2007年、教授の椅子を捨て大学を退職して以来、研究と共に日本中を駆け回りながら三浦綾子の心を伝える講演、読書会活動を行なっている。
 著書に『「氷点」解凍』(小学館)、『塩狩峠』の続編小説『雪柳』(私家版)、編著監修に『三浦綾子366のことば』『水野源三精選詩集』(いずれも日本基督教団出版局)がある。NHKラジオ深夜便明日への言葉、テレビライフラインなどに出演。