もうひとつの雪柳
2020年1月28日(火)朝、旭川市の神楽と神居を結ぶ両神橋から見た美瑛川の景色です。この朝、旭川市の最低気温は-18℃と報じられましたが、それは市の中心部でのこと。この場所では-20℃にはなっていたと思われます。空中を砂金が舞っているかのようにキラキラしていましたから、ダイヤモンドダストだったのでしょう。ちいさな枝枝まで凄絶な霧氷に覆われた川柳は、雪柳か満開の枝垂桜のように見えます。『氷点』の陽子が遺書をしたため死のうとして家を出て、「こんな美しい雪の中で死ねるなんて」と心につぶやいたのも、こんな峻烈な朝だったのでしょう。まつ毛が凍りつきかけて瞬きがしにくくなっても、呼吸が苦しくなっても、北国の冬は素敵です。『氷点』では、お正月にこの橋を渡って、陽子と徹が伊の沢のスキー場にゆきますが、60年前の当時はもっと寒くてもっと美しかったのかも知れません。この写真は両神橋から見た下流の風景ですが、上流側には『氷点』の舞台外国樹種見本林が見えます。
このブログを書いた人
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1962年岡山県生まれ。1992年から2006年3月まで福岡女学院短大および大学で日本の近代文学やキリスト教文学などを講義。2001年より九州各地で三浦綾子読書会を主宰、2011年秋より同代表。
2006年、家族とともに『氷点』の舞台旭川市神楽に移住し、三浦綾子文学館特別研究員となる。2007年、教授の椅子を捨て大学を退職して以来、研究と共に日本中を駆け回りながら三浦綾子の心を伝える講演、読書会活動を行なっている。
著書に『「氷点」解凍』(小学館)、『塩狩峠』の続編小説『雪柳』(私家版)、編著監修に『三浦綾子366のことば』『水野源三精選詩集』(いずれも日本基督教団出版局)がある。NHKラジオ深夜便明日への言葉、テレビライフラインなどに出演。
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