2021年1月12日(火) / 最終更新日時 : 2021年3月23日(火) 森下 辰衛 試作的思索 どうしてこの私ではなくてあなたが ― 神谷美恵子 1月12日は、神谷美恵子(かみやみえこ)さんの誕生日です。1914(大正3)年東京府に生まれました。父の前田多門さんは新渡戸稲造の弟子で文部大臣を務めました。津田英学塾卒、コロンビア大学留学、東京女子医専卒。東大医学部精神科、ハンセン病療養所長島愛生園等で勤務し、1979(昭和54)年に亡くなりました。三浦綾子は感動をもって彼女の詩を何度も引用しています。
2020年12月24日(木) / 最終更新日時 : 2020年12月24日(木) 森下 辰衛 試作的思索 飼い葉おけのみどり子 「あなたがたは、布にくるまって飼葉おけに寝ているみどりごを見つけます。それが、あなたがたのためのしるしです。」(新改訳・2017年版)ここで「布にくるまって」と訳されているギリシャ語εσπαργανωμενον(エスパルガノゥメノン)は、「細長い布に包まれた(者を)」の意の受動型の動詞です。手元にあるフランス語訳でもemmaillotéという受動型の語が使われていて、意味として「くるむ」のほかに、「包帯を巻く」、「束縛する」という意味も持っています。
2020年10月5日(月) / 最終更新日時 : 2020年10月5日(月) 森下 辰衛 試作的思索 いのちから離れるほど毒化する ― 食べ物と健康についてのたわごと 7年ぐらい前、近くの病院に行き健康診断を受けましたが、送られて来た結果を見ると「コレステロールが要治療レベルです。医療機関で受診してください」と書かれていました。ギョッとしましたが、自覚症状がなかったこともあり、病院に行きませんでした。母が似た体質で薬を飲み続けていて見当がつきましたので、まずは別の方法を試してみようと思ったのです。
2020年7月18日(土) / 最終更新日時 : 2020年7月18日(土) 森下 辰衛 被造物の福音 澄んだ清らかな目で 三浦綾子さんの短篇小説「病めるときも」は1942(昭和17)年7月の洞爺湖温泉から始まります。ここで二十歳の藤村明子は、清らかなまなざしを持つ青年久我克彦と出逢いました。大学医学部の研究室で放線菌の研究をしているという克彦の澄んだ清らかな目に、キリスト者の家に育った明子はひかれ、翌年には婚約をかわしました。
2020年7月3日(金) / 最終更新日時 : 2020年9月14日(月) 森下 辰衛 試作的思索 国境の河は深い 国境の河は深い。 河の向こうにいる、きみ。 河のこちらにいる、ぼく。 故郷では、会いたいと思えばすぐに、走って行けた。ぼくたちは、いつでも会えた。でも、今は二人の間に、国境の深い河がある。この河を越えられなかったのは、君だったのか、ぼくだったのか? 果てしなく続く、国境線の向こうとこちらで、ぼくたちは、心の中で呼び合うだけ。
2020年4月28日(火) / 最終更新日時 : 2020年9月14日(月) 森下 辰衛 試作的思索 みずうみ/これは戦争なんだから 昔は良かったと言うのはやめよう 戦争や貧困や公害病や 言い難き苦難を苦しみつつ生き 亡くなった人々の魂が 今も私達に叫ぶから
2020年4月19日(日) / 最終更新日時 : 2020年7月4日(土) 森下 辰衛 試作的思索 「取り除かないでください」と祈る 世界屈指の観光地であるベネチアから観光客が消えて、運河に魚が戻って来たと言う。世界中の人が少なくなった都市の市街地にピューマや象やサルの群れや鹿たちが、あるいは今までどこにいたのだろうというような鳥や動物たちが出て来ているらしい。