2020年12月29日(火) / 最終更新日時 : 2020年12月30日(水) 森下 辰衛 リルケ 奇跡がないとしたら ― 前川正とリルケ 12月29日はリルケの命日です。前川正はリルケの代表作である『マルテの手記』と書簡集(こちらはドイツ語で、自分で訳してもいたようです)を愛読していました。前川は、『マルテの手記』の主人公マルテが「淋しくてならぬ、悲しくてならぬ時は」博物館に行ったと書かれているのに倣って、自分も悲しいときには図書館に行くのだと綾子宛の手紙に書いています(『生命に刻まれし愛のかたみ』p.30)。
2020年9月24日(木) / 最終更新日時 : 2020年9月24日(木) 森下 辰衛 辻邦生 ただ一輪の薔薇 ― 辻邦生の啓示 辻邦生は1925年9月24日東京に生まれ、57~61年のフランス留学を経て、63年『廻廊にて』で本格的にスタートした日本人の作家(1999年没)ですが、彼の思想の基盤はリルケやトーマス・マン、プルーストなどを中心にしたドイツ、フランスの文学にありました。1959年、辻はギリシャのアクロポリスの丘で決定的な経験をしました。
2020年8月24日(月) / 最終更新日時 : 2020年8月24日(月) 森下 辰衛 シモーヌ・ヴェイユ シモーヌ・ヴェイユと三浦綾子 今日8月24日はフランスの思想家シモーヌ・ヴェイユが亡くなった日です。1943年、第二次世界大戦中に英国アシュフォードで、彼女は34歳で客死しました。「戦後フランスの精神的再建への青写真」の作成に最期の力を注ぎながらも、彼女にとってナチスドイツに蹂躙され傷つけられた祖国の苦しみを感じつつ離れてあることは、強い痛みでもありました。