2020年3月20日(金) / 最終更新日時 : 2020年7月4日(土) 森下 辰衛 三浦綾子を読む 春を待つこころ ― 『天北原野』から 週の初めの日、朝早く、まだ暗いうちに、マグダラのマリアは墓に行きました。そして墓の外に立って泣いていました。彼女がこの世でただ一人愛する人、彼女にとっての命であった存在、彼女の心をその愛で満たしてくださった唯一の方が無残にも、死によって彼女から取り去られたからです。彼女はその人の墓に来ました。そこにあるのは彼女の愛の希望が本当の終わりになったことの確認だけでした。