2019年12月24日(火) / 最終更新日時 : 2020年7月4日(土) 森下 辰衛 三浦綾子を読む 約束 ― 「桜の下」(『塩狩峠』)から 「人間には、命をかけても守らなければならないことがあるんだよ。わかるか?」 四年生になった信夫は、女子便所におばけが出るかどうか確かめるため、級友たちと夜八時に桜の木の下に集まる約束をした。ところが夜七時過ぎに雨に風をまじえるようになると、信夫はこんな雨の中を出ていかなければならないほど大事なことではないと考える。そんな信夫に父貞行は言う。