2020年4月30日(木) / 最終更新日時 : 2020年7月4日(土) 森下 辰衛 三浦綾子 病院の廊下に額をすりつけて祈る ― 綾子さんのお父さんのこと 私は十三年もの療養で家を傾けた親不孝な娘だったが、その病気の最中に、私の部屋に入って来て、 「綾子、弱く生んですまんかったなあ」 と、声をうるませたことがあった。長い療養中の娘に親が謝る……そんなことがあってよかろうか、私はその親心に深く打たれたものだった。