2020年5月10日(日) / 最終更新日時 : 2020年7月4日(土) 森下 辰衛 三浦綾子を読む 海に満ちる光 ― 『母』小林セキの命日によせて 小説『母』の物語は、この半月ほど前の昭和36年4月のある穏やかな日の午後、セキが、訪ねて来た人に向かって自分の一生を物語るという形式を採っています。この語りの舞台、セキが晩年を過ごした場所は、多喜二の姉である長女チマの嫁ぎ先である佐藤家の離れでした。眼下の小樽の海から石狩湾を挟んで向こうに「増毛のほうの山」が見えました。