新刊本『あらすじで読む三浦綾子 名著36選』

 「信徒の友」誌での三年にわたる「あらすじで読む三浦綾子」の連載終了後、その頁のコピーを束にして持っている方に何度も出会いました。「便利なんですよね」「復習に良いんです」「読み物として面白くて、繰り返し読んでます」と口々におっしゃり、そこまでしない方々も「早く一冊にして下さい」とお求めでした。
   確かに、これは便利です。三浦綾子の全長篇小説34+傑作短篇小説2のあらすじに、簡潔で的確な解説も付されています。

   出会えば“はまる”のが三浦綾子の文学です。気がつけば三十冊読んでた、なんて普通です。そうなると『裁きの家』『残像』『水なき雲』の細部の区別はなかなかつきません。誰かに紹介したいのに、肝心の所が曖昧、名前や舞台が出てこないのよねという方にも、すっかり忘れちゃった人にも勿論便利です。 
   読書案内にも使えます。面白そうな本を探す。知識として知っておきたい。読書会の準備にも良いです。特に司会進行役やチラシを作る人には必携でしょう。
   そして、読んだ頃を思い出す道しるべにもなります。読書歴は、心の歴史です。失われた時が豊かに甦る旅の同伴者となります。
   勿論、あらすじ本はネタバレ要注意本!です。ハラハラドキドキ、どんでん返しで涙腺崩壊のドラマが台無し?でも、大丈夫。三浦綾子読書会で良く聞くのは「何回読んでも新しいのよね。年齢が変わる度に、違うものが見えてくるから。『氷点』も最初は陽子になり切ってたのに、今は夏枝さん目線で読んでるの」という声。それに『塩狩峠』『母』『細川ガラシャ夫人』、本物のドラマには、衝撃のラストを知っていても、そんなの関係ない圧倒的な力と奥行きがあります。
   今回は不思議にも九州でお交わりいただいた敬愛する先生方とご一緒できて感謝でしたが、それぞれに三浦綾子観、作品観がありますから、あらすじも完全に客観的なものではありません。おお、こんな細い筋に気づいて語ってるのか!と驚き、逆に、あの大事な伏線に触れないのか?と読めたら、もう三浦綾子文学通です。
   苦難の時、三浦綾子の人生は光。絶望の日、前川正の愛は道。この本もまた、多くの方に開かれた希望への招きのひとつとなりますように。

 四六判180頁  定価1760円(税込)+送料180円(1冊の場合 ※冊数により変動) = 1940円   を

      著者、筆文字サイン入り  1900円  でお分かちします。

      shiokaripass@gmail.com   森下辰衛まで、ご注文ください。

このブログを書いた人

森下 辰衛
森下 辰衛三浦綾子読書会代表/三浦綾子記念文学館特別研究員
 1962年岡山県生まれ。1992年から2006年3月まで福岡女学院短大および大学で日本の近代文学やキリスト教文学などを講義。2001年より九州各地で三浦綾子読書会を主宰、2011年秋より同代表。
 2006年、家族とともに『氷点』の舞台旭川市神楽に移住し、三浦綾子文学館特別研究員となる。2007年、教授の椅子を捨て大学を退職して以来、研究と共に日本中を駆け回りながら三浦綾子の心を伝える講演、読書会活動を行なっている。
 著書に『「氷点」解凍』(小学館)、『塩狩峠』の続編小説『雪柳』(私家版)、編著監修に『三浦綾子366のことば』『水野源三精選詩集』(いずれも日本基督教団出版局)がある。NHKラジオ深夜便明日への言葉、テレビライフラインなどに出演。