遠回り、回り道、良き方に似る道~あや講座最新DVDのご紹介

   第5回あや講座のDVDが出来て来ました。
   第一部、松浦みち子先生の『銃口』の講演「『銃口』竜太の語った『回り道』ー人を生かす希望の言葉とは」。元々、昨年度の語り手養成講座優秀作ですが、更に数段バージョンアップして、本当に素晴らしいものに完成しました。丹後大震災と戦争とを通った女性たち三代の苦難と、教育者としての子どもたちへの愛と信仰と家族、震災で炎上する教会堂で、その町の救いを祈りながら、祈りの姿勢のままで亡くなった牧師のドラマも圧倒的です。それらの物語が『銃口』の本質を、一つの生活綴り方として体現しながら、みごとに照らしています。女三代の回り道の物語と竜太の「回り道」の物語の重なりに、希望が見えてきます。
 
   第二部の榎本恵先生と私の対談「父榎本保郎と三浦綾子」。「アシュラムが父を殺した!」と叫んでいた少年が、長い年月の回り道を経ながら、とうとう父榎本保郎に似た者になってゆく物語。沖縄伊江島のサトウキビ畑で働いて、椎間板ヘルニアで何もできなくなり、ただ寝ているしかなくなった恵先生に、島のたちが声をかけてくれて始まった、新しい道。そのときの心を歌った詩「私はになりたい」。このあたり、泣けて来ますが、ドラマの破天荒さは、全く親ゆずりで楽しいです。そして、恵先生の前をいつも大きすぎる父が歩いていたのだとしたら、いつもいつも本当に長い間、遠くから祈られていた母和子先生の祈りもまた、このドラマの本当の力でもありました。
   それから、榎本保郎師が書いたアシュラム誌巻頭言とアシュラム誌に連載した三浦綾子のコラムエッセイ「壺」における両者の呼応する魂と信仰の歩み。そして最後は、現在出版準備が進んでいる榎本保郎の絶筆である連載イエス伝「このを見よ」の原稿。ちいろば先生の最後の血といのちが噴き出しているようでいて、しかしやさしい言葉でメッセージがなされてゆく、素晴らしいものです。その紹介も通して、そういったお父様の言葉を読みながら、お父様が召された年を超えて来た恵先生が何を今思い、考えておられるのかも、うかがいました。この対談、本当に良いものになりました。ぜひお聴きください。
 
   DVDは一枚1000円、送料は10枚までは180円です。ご注文は、shiokaripass@gmail.com(森下)まで。郵便振替用紙を同封してお送りします。
 

このブログを書いた人

森下 辰衛
森下 辰衛三浦綾子読書会代表/三浦綾子記念文学館特別研究員
 1962年岡山県生まれ。1992年から2006年3月まで福岡女学院短大および大学で日本の近代文学やキリスト教文学などを講義。2001年より九州各地で三浦綾子読書会を主宰、2011年秋より同代表。
 2006年、家族とともに『氷点』の舞台旭川市神楽に移住し、三浦綾子文学館特別研究員となる。2007年、教授の椅子を捨て大学を退職して以来、研究と共に日本中を駆け回りながら三浦綾子の心を伝える講演、読書会活動を行なっている。
 著書に『「氷点」解凍』(小学館)、『塩狩峠』の続編小説『雪柳』(私家版)、編著監修に『三浦綾子366のことば』『水野源三精選詩集』(いずれも日本基督教団出版局)がある。NHKラジオ深夜便明日への言葉、テレビライフラインなどに出演。