二人はきっと二人だけの深い同伴者でした。~三浦綾子と遠藤周作 ー オンライン講座のご案内

   三浦綾子と遠藤周作は戦後日本文学を代表するキリスト教作家です。三浦綾子がプロテスタント、遠藤周作がカトリックで何かと対照比較されることのある二人ですが、三浦綾子を評価する人は遠藤周作を評価せず、遠藤周作を価値高く見る人は三浦綾子を低く見るということが多かったように見受けられます。芸術作品には好き嫌いがあるのは当然ですが、それ以上にそれは強く主張されてもいたように思います。
   でも、二人は同学年で、実は友人でもありました。そして、『沈黙』と『塩狩峠』、『細川ガラシャ夫人』と『侍』、『深い河』と『銃口』など、近い時期に非常に興味深い対照と、時には深い関連を見せるような作品を出し合っています。たぶん、私たちが近視眼的に見るよりずっと広いまなざしで、二人は互いを見ては理解し合い、刺激し合い、励まし合い、この国の“文学を通して真の神を求めようとしている心”のために、互いが書いていることを、良く分かっている、いわば深い“同伴者”であったのではないかと思います。
   だから、例えば三浦綾子よりちょっぴりお茶目で元気だった遠藤周作はテレビドラマ『氷点』に出演したし、三浦綾子の招きに応じて旭川を訪れて講演したりしているのです。1991年、遠藤周作が講演のため旭川を訪れたとき、彼は『深い河』を書いており、三浦綾子は『銃口』に取り組んでいました。いずれも畢生の大作、集大成の時期でした。その十年後にはもう二人ともこの地上にはいなくなっていました。それを思うだけで、ものすごいドラマを感じ鳥肌が立つのは私だけでしょうか?
   私は遠藤周作については素人です。少しずつ読みながら、学びながら二人を対照させて見てゆくことで、両方が互いを互いの光で照らして、今まで見えなかった面を豊かに見せてくれるかも知れないと、夢見ています。一回目はまず、年表などを用いた基礎的な対照や、現在分かっている交流などについて、お話ししたいと思います。

      あや講座   9月23日(木・祝)13:30-15:30   

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このブログを書いた人

森下 辰衛
森下 辰衛三浦綾子読書会代表/三浦綾子記念文学館特別研究員
 1962年岡山県生まれ。1992年から2006年3月まで福岡女学院短大および大学で日本の近代文学やキリスト教文学などを講義。2001年より九州各地で三浦綾子読書会を主宰、2011年秋より同代表。
 2006年、家族とともに『氷点』の舞台旭川市神楽に移住し、三浦綾子文学館特別研究員となる。2007年、教授の椅子を捨て大学を退職して以来、研究と共に日本中を駆け回りながら三浦綾子の心を伝える講演、読書会活動を行なっている。
 著書に『「氷点」解凍』(小学館)、『塩狩峠』の続編小説『雪柳』(私家版)、編著監修に『三浦綾子366のことば』『水野源三精選詩集』(いずれも日本基督教団出版局)がある。NHKラジオ深夜便明日への言葉、テレビライフラインなどに出演。