新作講演DVD「佐石土雄の物語~『氷点』の核心」

2021年2月24日、三浦綾子関西語り手養成講座の公開講演会におけるzoomを使っての新作講演の録画DVDが出来ました。三浦綾子のデビュー作『氷点』の原風景ともいえる冒頭の養女誘拐殺人事件。辻口家の三歳の娘ルリ子を殺した犯人佐石土雄の物語を三浦綾子はどんな思いをこめて、こんなにも詳細に描いたのか。その恐るべき深みを豊かに読み解きます。物語は大正13年の関東大震災に始まり、『続氷点』で佐石土雄の実の娘相沢順子が辻口家を訪れる日の奇跡まで、人間存在の罪と苦難と淋しさと人恋しさ、そして戦争と祈りのドラマとして、三浦綾子は涙しながら書きました。それは『氷点』の傍系のエピソードではなく、『銃口』にまで至る三浦綾子全部のテーマとなり、答えなければならない自らへの問いともなった、三浦文学の“核心”でもありました。涙をこらえつつ30分で語りました。最後に語っています佐石土雄から『続氷点』の相沢順子への繋がりは、それに気づいた瞬間、私自身涙がとめられなかった部分で、新しい読みです。ぜひお聴き下さい。

※ご注文は、E-mail: shiokaripass@gmail.com(森下)まで。1枚1500円(送料等すべて込)。DVDをお送りしますスマートレターパック等に同封の郵便振替用紙でお支払いください。

このブログを書いた人

森下 辰衛
森下 辰衛三浦綾子読書会代表/三浦綾子記念文学館特別研究員
 1962年岡山県生まれ。1992年から2006年3月まで福岡女学院短大および大学で日本の近代文学やキリスト教文学などを講義。2001年より九州各地で三浦綾子読書会を主宰、2011年秋より同代表。
 2006年、家族とともに『氷点』の舞台旭川市神楽に移住し、三浦綾子文学館特別研究員となる。2007年、教授の椅子を捨て大学を退職して以来、研究と共に日本中を駆け回りながら三浦綾子の心を伝える講演、読書会活動を行なっている。
 著書に『「氷点」解凍』(小学館)、『塩狩峠』の続編小説『雪柳』(私家版)、編著監修に『三浦綾子366のことば』『水野源三精選詩集』(いずれも日本基督教団出版局)がある。NHKラジオ深夜便明日への言葉、テレビライフラインなどに出演。