青春の旅の終わりの夢、愛の使命に目覚める朝 オンライン講演会『道ありき』③のご案内
旅の終りの今朝見たる夢淋し生きよと三度君に告げゐつ 三浦光世
それはどんな旅だったのでしょうか。出張であったのか、私事の旅であったのか、それは判然としませんが、光世さんには光世さんの旅があったのです。そしておそらくは青年期という一つの旅の終わりを感じていたのでしょう。綾子さんへの愛が内実を持って育ち、「愛するか?」と問われるべき朝が来ていたのでしょう。出会いから一年後の昭和三十一年の七月の朝、光世さんは綾子さんがありありと死んでしまう夢を見ました。光世さんは本当に淋しかったのです。しんとするような、こころの底の深いところに冷たいものが沈んでくるような、耐え難い淋しさだったのでしょう。この淋しさから「生きよ」という宣言に至る心の道程は、かけがえのないものとしてその人を愛している自身の心の発見と愛することの使命の確認でもあったのだと思いますが、それはまた、彼自身が腎臓結核や膀胱結核で苦しみ、血の中でもがいていたときに聞いた声をもう一度思うことでもあったでしょう。この時期の光世さんの短歌も使いながら、光世さんにとっての綾子さんとの出会いの意味も探ってみたいと思います。
12月11日(土)14:00 ZOOM お申込みはshige_hiyo@cloud.com(日吉)
このブログを書いた人
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1962年岡山県生まれ。1992年から2006年3月まで福岡女学院短大および大学で日本の近代文学やキリスト教文学などを講義。2001年より九州各地で三浦綾子読書会を主宰、2011年秋より同代表。
2006年、家族とともに『氷点』の舞台旭川市神楽に移住し、三浦綾子文学館特別研究員となる。2007年、教授の椅子を捨て大学を退職して以来、研究と共に日本中を駆け回りながら三浦綾子の心を伝える講演、読書会活動を行なっている。
著書に『「氷点」解凍』(小学館)、『塩狩峠』の続編小説『雪柳』(私家版)、編著監修に『三浦綾子366のことば』『水野源三精選詩集』(いずれも日本基督教団出版局)がある。NHKラジオ深夜便明日への言葉、テレビライフラインなどに出演。
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