日本中を回って三浦綾子についてお話しする生活になって、いろいろな乗り物に乘るようになった。飛行機、新幹線、電車、高速バス、人の車、船、モノレール。飛行機に初めて乗ったのは三十歳をいくつか過ぎて、福岡から旭川に三浦綾子さんに会いに行ったときだったが、新幹線に初めて乗ったのは小学校四年生のとき。社会見学でその年開通したばかりの山陽新幹線の岡山駅に行って、停車中の車両に一秒乗って降りたときだった。バスとなると、幼い頃から乗っていたから、初めての時を憶えてはいない。でも、バスは一番いろんな思い出のある乗り物かも知れない。


オムニ・バス ①

 日本中を回って三浦綾子についてお話しする生活になって、いろいろな乗り物に乘るようになった。飛行機、新幹線、電車、高速バス、人の車、船、モノレール。飛行機に初めて乗ったのは三十歳を…

オムニ・バス ②

二    福岡時代、春日原という駅の近くに住んでいたころのこと、家の近くから勤めていた学校の近くまで一本で行けるバス路線ができた。春日原の駅近くから出て、ぐるっと回ってまた春日原に…

オムニ・バス ③

三     中学一年の時のことだ。いつもは親の車か、自転車で通学しているのに、その日の帰り道は、二歳上の兄と一緒にバスで帰ることになった。たぶん十二月で、印刷工場で働いている親が忙…

オムニ・バス ④

四    幼稚園のころ、虫歯がたくさんあって、私は町の歯医者に通っていた。アルマイトのデコボコのお椀で脱脂粉乳のミルクが出る給食のあと、幼稚園が終わると、祖母が迎えに来て、町へ行く…